ゲーセンひらがなであおき(ひらがなであおき)最後の日。
私(まゆぷん)は店の装飾、小学校の同級生(LadyVF)は八百屋さん(総長墓堀人)や酒屋さん(へにほに)、小料理屋さん(ヒロぽん)と材料や飲食物の確認をしていた。
全体の進行をお願いした真面目な文具屋さん(z)と撮影係の写真屋さん(HARU)は、ずっと手順を確認している。
ゲームをしながら飲食もできて、会話を楽しむ。
今日はガシャポンも無料にした。
お店をたたむことを決めたので、集まったクラファンのお金や、支援者(ばぶちち)には丁寧にお礼を言ってお返ししたのだが、それでも何かの足しに、と支援金をくれたので、それをこの、お別れ会に当てさせてもらった。
今回こうして、色んな人と携わって、私(まゆぷん)は一人ではなく、たくさんの人に支えられて生きているんだという事を身をもって実感できたなあ。
「こらー!まだ装飾終わってないでしょ!ぼーっとしない!」
小学校の同級生(LadyVF)が喝をいれてくる。
「ごめんごめん!」
私がもたついていると、先輩(inabaマローンセンパイ)や先輩の友達(♂コッシィ♀)も手を貸してくれた。
こうして、てんやわんやの中、お別れ会の準備は完了した。
お別れ会には、このひらがなであおき再生計画に協力してくれた人たちはもちろん、
この華火町(華火)の町長(迅助)さんや、隣町の町長さん(津古さん)まで、少しの時間だけれど、顔を出してくれた。
「みんな、ここ(ひらがなであおき)にお世話になったんだね。」
小学校の同級生(LadyVF)が呟いた。
「うん・・・。」
楽しい時間あっという間にすぎ、お別れ会も終焉の時が近づいていた。
「それでは、最後に店長(小林)さんから、一言!お願いします!」
場を仕切ってくれていた、文具屋さん(z)が、店長(小林)さんを呼ぶ。
「あー、えっと。こういうのはあまり得意ではないのですが、本当にこんなにたくさんの人に愛してもらえて、先代の店主(HIS)の父も喜んでいると思います。
家でゲームをするのが主流になり、子供達が減り、続けていくのが困難になり、閉めてしまいますが、お店をやってきたことに後悔はありません。
ゲームセンターに未来はないかもしれませんが、皆さんの心の中に、ここ(ひらがなであおき)がいつまでもあることを願っています。」
パチパチパチパチ・・・
拍手が沸き起こる。
心の中にいつまでも。か。本当にそれでいいのかな。
この1ヵ月ずっとモヤモヤしてたものがこみ上げてくる。
「あのっ!!」
考えるより先に声が出ていた。
「未来がないって、未来って作るものなんじゃないですか?自分で、、未来がないって、それ決めていいんですか!」
言ってしまった!!
「君(まゆぷん)の言いたいことはわかるよ、君は若い。たくさんの可能性があるから、きっとわからないんだよ。」
店長(小林)は私に諭すように言った。
私(まゆぷん)も一生懸命理解したつもりだった、でもきっと諦めが悪いのだ。
ずっとずっとずっと消化不良だった。
心の中に毛玉が溜まって溜まってイライラしていた。
なので、つい、言ってしまった。
「店長(小林)の言ってる事も、すごくわかるんです、でも、私(まゆぷん)諦めが悪いんです。」
私(まゆぷん)は大きく息を吸い込んだ。
「私、必ず未来を作って見せます・・・。だから、長生きしてくださいね。」
そういうと、周りから大きな拍手と声があがった。
「いいぞー!!」
「期待してるからなー!!」
店長(小林)も呆れ顔で、そしていつもの優しい笑顔で
「長生きしなきゃね。」
と言った。
「これがその時の写真なんですか?」
青年(TheMan)が写真を指さす。
「そう、写真屋さん(HARU)がたくさん撮ってくれたうちの1枚だね。」
私(まゆぷん)は額縁に入ったその写真を丁寧に壁に掲げた。
「いい写真ですねえ。」
「ほら、サボってないで。もうすぐ筐体くるでしょう?」
青年(TheMan)はあっ!と気づいた様子をみせ、慌てて入口付近を片し始めた。
「ちわっす!R-MOON/九条(R-MOON/九条)の筐体お持ちしました~。」
筐体の業者さん(英克_悠愛パパ_GLAYER)が声をかける。
「うおお、懐かしい~!!R-MOON/九条(R-MOON/九条)!」
興奮する青年(TheMan)。
「ここ、おいてください~!」
筐体の業者さん(英克_悠愛パパ_GLAYER)の納品書にサインをし、
「これで、一段落かな?」
店の中を見回して、一息つく。
最後の仕上げに、私(まゆぷん)は
看板と脚立を抱えて、表にでた。
「うん、ばっちりっしょ。」
看板を掲げ、うんうんとうなづく。
看板にはもちろん
「ひらがなであおき」(ひらがなであおき)
と書かれている。
「いやあ、バッチしっすね!」
青年(The Man)もうなづく。
「さ、営業開始するよ!」
私(まゆぷん)は店内の電源をすべてオンにし、表の立て看板にスイッチを入れ、ドアを開けた。
するとそこにはもう既に、一人の男が立っていた。
「いらっしゃい!だいぶお待たせしちゃいましたけど、未来、ちゃんと作りましたよ!」
私(まゆぷん)が微笑みながらそう言うと、先代の店主(小林)は、いつもの優しい笑顔で
「今回ばかりは、君(まゆぷん)の勝ち、君(まゆぷん)正しかったみたいだ。」
といい、負けを認めたのに、それはそれは大層嬉しそうに、店(ひらがなであおき)の中に入っていった。