それはそれは、本当に急な話。
「店をね、畳もうと思うんだ。」
青年(小林)がそう呟いた。
私(まゆぷん)は耳を疑った。
店を、畳む?
このゲーセン(ひらがなであおき)を?
「どうして?今でもいろんな人に愛されてるじゃないですか!」
私(まゆぷん)は、こんなに愛されたゲーセン(ひらがなであおき)を知らない。
父(まんじ)の代から、ずっとこの町で愛され続けてきたゲーセン(ひらがなであおき)だ。
最新のゲームはないけれど、少し古い筐体に懐かしいゲーム、誰がやるのかわからないようなガシャポン。
その全てがこの町の人に愛され、恐らくここ(ひらがなであおき)に来たことない子供はいないのではないだろうか?
「未来がね、見えないんだよ。」
青年(小林)は寂しそうに続けた。
「大人になってみんな都会へ出ていってしまうし、子供も随分減ったろ?
それに今の子達はゲーセンより、家でゲームを楽しめるから・・・。」
それを聞いて私(まゆぷん)は何も言えなかった、だって、その通りだったから。
「ちょうどね、ここを買いたいって人がいるんだ。隣の敷地の工場を広げたいらしい。
いい機会かなと思ってるんだ。」
夕暮れを過ぎ、もう空は暗くなっていた。
私(まゆぷん)は少しの電灯しかない暗がりの道をとぼとぼと歩いた。
あおき(ひらがなであおき)、なくなっちゃうんだなあ。
ゲーセン「ひらがなであおき」(ひらがなであおき)は私(まゆぷん)にとって、特別な場所だった。
最初は父(まんじ)に連れられて。パズルゲームをしたり、ガシャポンさせてもらったり。
先代の店主(HIS)にもとてもかわいがってもらったのを覚えている。
どうしても学校に行きたくない日、かくまってもらったこともあったな。
少し大きくなってからは、学校の友達(Lady VF)と遊びにきたり、
「ひらがなであおき」(ひらがなであおき)で知り合った人もいたな。
会わなくなって、久しいけど、みんな元気かな・・・。
「ひらがなであおき」(ひらがなであおき)の思い出がどんどん溢れてくる。
「『ひらがなであおき』はね、子供達にも、どんな人でも読めるように、ひらがなにしたんだ。
色んな人に愛されるゲーセンであるように、願いを込めてね。」
先代の店主(HIS)の言葉が頭をよぎる。
なくなっちゃうんだ。
私(まゆぷん)の大好きな場所。
色々な思い出を振り返りながら、家についた私(まゆぷん)はベッドに倒れ込んだ。
・・・・私(まゆぷん)、これでいいのかな。
こうして、悲しんで、そしてあのゲーセン(ひらがなであおき)を見送るしかないのかな。
答えはすぐに出た
そんなの絶対に嫌だ!!
私(まゆぷん)は勢いよく起き上がり、スマホを取ってすぐに電話をかけた。
懐かしい、小学校の同級生(Lady VF)へ。